第5章~数学係~
俺が憂鬱な感傷に浸っていると担任が入ってきた。
担任はにこにこしながら教卓の前に立つと大きな紙袋を出した。
美樹(担任)『よーし。しょっぱなの授業で数学するのもナンセンスだから今日は係り決めようと思います♪』
美樹『それとアンケート用紙も配るからそれに記入もよろしく♪』
クラスの男子は先生知ってるね~とかさすが先生!とかはやし立てまくっている。
担任の女教師も満更じゃないご様子。
そんなこんなで係りを決めることになった。
美樹『じゃあまず委員長から決めようかしら?やっぱ公平に男女1名ずつがいいのかな?立候補ある?』
というと真っ先に俺の真後ろから声が聞こえた。
謙三『僕でよかったら委員長やりますよ』
他の男子は委員長なんて面倒な仕事をしなくて済んだので謙三に惜しみない拍手を贈っていた。
女子の方はなかなか決まらなかったが、そのグダグダさに業を煮やした唯が、
唯『じゃあ私やります』
と、立候補した。これでいちを委員長は決定した。
雄太のほうをチラっとみると凄い複雑な表情をとっていた。
ちなみに俺はめんどくさかったので何でも良いですというと自動的に数学係になった。数学係ってなにすんだよ。
まぁやること無さそうだったから良いかと思ってたら、
美樹『じゃあ数学係の前田君。このアンケート用紙をみんなに配ってね♪数学の時間はこれからどんどん働いてもらうから笑』
そういうことかよ。俺は観念してプリントを配っていった。
そのプリントは何処にでもある新入生に対してのアンケートだった。全部手書きだったのには正直驚いたが。
美樹『私パソコン上手く使えなくて昨日の夜作ってたの。誤字とかあると思うけど気にしないで回答してね♪』
と、満面の笑みを見せた。普通俺らぐらいの男子はこういうのは丸めて捨てたり、放置したり、落書き用にストックするんだけど
さすがに30枚以上のプリントを1人で手書きした先生の労力を考えるととてもじゃないがそんな事する気分にはなれない。
それプラス先生の容姿のおかげもあるだろうが。可愛い先生には男共は優しいのである。もちろん俺も含めて。
中身の質問はこんな感じ。
Q.高校生になってやりたいことはなんですか。
Q.どんな部活動にはいりたいですか。
Q.趣味はなんですか。
Q.数学について思ったことを書いてください。
まぁありきたりだなと思いつつ回答した。
A.特にないが何かを始めたいとは思っている。
A.今のところ部活動には関心がない
A.コレといってないが音楽を聴くぐらい。
A.無理
めんどくさがりの俺からしたら良く書いたほうである。
俺はみんなのプリントを集め先生に渡した。
美樹『ありがと~♪あとでゆっくり見させてもらうね!ん~そうね20分ぐらい余っちゃったな。他になにか決めることってあったっけ?』
そうすると、1人の男子が
男子『先生のニックネーム!』
ざわざわ言い出したがみんなその案に賛成した。
美樹『そうねぇ。高校時代はみんなからみーちゃんとかみっきーとか言われてたけど・・・』
俺はお前はねずみかと突っ込みを入れたくなったが止めた。クラスの男子に抹殺される。
そうするとクラスの男子がミッキーでいいんじゃね?と言ったので結局ミッキーになった。
美樹『みっきーかぁ♪なんか高校生にもどったみたい笑 よろしくね♪』
数学係の俺は職員室の中で絶対にミッキーとは呼びたくないと切に思った。
そんな事をしていたら、授業の終わりの鐘がなった。
ミッキーは鼻歌まじりで教室から出て行った。
多分ミッキーが教室から出るのと同時にあいつが俺の席に突っ込んでくるだろう。
案の定雄太が俺の席までダッシュしてきた。唯の事だろうな。
雄太『マエケ~ン!マジでタイミング逃した。。。絶対あの二人フラグ立っちゃうよ!!』
俺の予想では委員長になった謙三と唯の事だろう。
健三『まてまて。フラグってなんだよ』
雄太は、( ゚Д゚)ハァ?みたいな顔して俺の顔を見てる。しらねーもんはしらねーよ。
雄太『要するにあの二人が恋するってことだよ!そんなことだと2chに置いてけぼりにされるぞ。』
むしろ俺は大歓迎だった。正直そういのは興味ないのだ。
雄太『あのままだと謙三ENDで終わっちゃうんだろうなぁ~。雄太ENDに持っていく様に頑張らなきゃいかんぜ!』
もういみわかんねぇ。あえて聞かないでスルーすることにする。
俺は話を変えるためにさっきのアンケートの事を聞いた。
健三『なぁ。さっきのアンケートなんて書いた?てか雄太は部活とかやるつもりなの?』
雄太はん~と考えこんだ後に、
雄太『俺もいまいちぴんと来ないんだよな~。中学んときは帰宅部だったし。』
雄太『でもこの学校は絶対に部活に入らなきゃいけないみたいだからなんかしらのとこには入ろうとは思ってるんだけどね』
そんな事初めて聞いた。びっくりしてる俺にさらに追い討ちをかけてきた。
雄太『ちなみに部活動に入ってない生徒は内申書にひびくらしいぞ。お前めんどくさがって入らないとかしたら卒業できないんじゃね?笑』
悔しいが雄太の言うとおりである。俺の成績は中の下だからそういうところで点数もらわないと確実に留年がきまってしまう。
雄太『この時期はどこの部活も勧誘してるから放課後でも一緒にみて回ろうぜ。』
俺は正直めんどくさかったが、そうも言ってられないだろう。俺は雄太の誘いを承諾した。
ふと唯はなんの部活に入るんだろうなぁと思ったけど、めんどくさかったから聞きにいかなかった。
唯の方に目を向けると、さっそく委員長同士でなにやら話しをしていた。
唯の奴すげー笑ってる。いいや。放課後誘おうと思ったけど放置で。
そうおもってる矢先雄太が、
雄太『あのさぁ。。申し訳ないんだけど・・・』
こいつがこう言う事いうときは大抵俺が嫌だと思っていることである。
雄太『唯も呼んで欲しいんだよね。。健三仲すげぇ良いじゃん?だから違和感無しで誘えると思うしさ笑』
男の照れ笑いほど気持ち悪いものは無い。
まぁ唯ほどではないが雄太との付き合いも長い。ここは友達の切実な頼みという事で承諾した。
俺は昼飯の時間にでも唯に聞いてみることにした。
とりあえず授業が終わり昼休みになった。
昼食の準備をしている唯に話しかける。
健三『今日の放課後暇?』
唯はニヤニヤした様子で、
唯『なーに?デートのお誘い?笑』
俺は笑いながら、
健三『ちげーよ。放課後に部活動とか見学とか雄太とすることになったから唯もどうかなっておもって。』
唯はなーんだ。という顔をしながら、笑顔で
唯『良いよ。しかしやっと健三も部活動に入る気になったか!感心感心♪』
多分こいつはこの学校の決まりについて知らないのだろう。
健三『つうか、この学校自体部活動強制らしくて入らなかったら内申書にひびくらしいぞ。』
唯『誰が言ってたの?』
健三『雄太だけど』
ふーん。と言いながら、唯は膝に両手をかけて立ち上がりながら
唯『よし!じゃあ私も一緒になって探してあげる♪感謝しなさいよ!今度おごってね♪』
おごらせるなら俺じゃなくて雄太がすじだろう。そう思いつつもはいはい。と返事をしておいた。
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