第3章~ヤキモチ~
自己紹介が終わりとりあえずみんなの緊張が解けたみたいだった。
あちらこちらで男子が馬鹿騒ぎしてたり、女子はもう既に目当ての男子の話なんかしているようだった。
あまりのうるささに耐えかねてとりあえず外の空気でも吸ってみるかとおもい1人で廊下に向かった。
そこに、むすっとした顔で唯が向かってきた。
唯『さっきのあの自己紹介なによー。めんどくさがるのも中学までにしてないと学校生活つまんなくなるわよ。』
完全に俺の姉みたいな立場になりつつある唯に一抹の不安を抱える。
健三『ご忠告どうも。つか自己紹介とか何言えば良いか全然わかんねーし。まぁそこらへんは適当でも大丈夫だって』
唯は完全にあきれた様子。
唯『ほんとにあんたって奴は・・・。』
そんなこと言ったかと思えばいきなりさっきまでの顔とは打って変わって輝きだした。今度は何言うんだこいつ。
唯『ねぇねぇ!さっきのけんちゃんとおんなじ名前の子すごいかっこよくなかった?♪』
完全に乙女の目になってやがるこいつ。
健三『まぁ、悪い奴じゃないんじゃね?別に俺はこれといって気にしてねぇな。』
唯は俺の事を上目遣いで見ながら
唯『あー(笑)さてはヤキモチ妬いてるなぁ?けんちゃんは昔とかわらず可愛いねぇ~♪』
一瞬カチンと来たがここは冷静にハイハイ。と流しておいた。俺も大人になったもんだ。
廊下でそんな話をしていると、噂の謙三がやってきた。
謙三『おー前田君。こんなとこにいたんだ♪安達さんも一緒みたいで♪』
唯はちょっとびっくりした表情で、
唯『もう私の名前覚えたんですか?!』
謙三は爽やかな笑顔で、
謙三『もちろん!こう見えても記憶力は結構良いほうなんだ。これからよろしくね。』
言い終わるや否や、唯といきなり握手をしてとびきりの笑顔を唯に向けていた。あの笑顔で何人女を落として来たんだろう。
しかも唯もまんざらじゃない様子。はいはい。よーござんした。
そうこうしているうちに休み時間のチャイムが鳴ってしまった。
俺はこの二人をほっといて次の授業のための準備をしに教室に足早に向かった。
とりあえず俺の今までの評価は全言撤回しておいたほうが良いだろう。
第4章~思い~
授業のチャイムが鳴るやいなや、廊下からものすごいダッシュで教室に駆け込んできた。
雄太『やっべー。いきなり遅刻しちまった。すんません先生!寝坊しました!』
周りはクスクス笑い出している。俺は出来れば知らない振りをしていたかった。
こいつの名前は五十嵐雄太。小学生の時からの連れでこいつとは毎日の様に悪さをしていた。
そのわりには怒られるのはいつも俺だけ。まぁ得てしてそんなもんだ。
この要領のいい悪友は先生に軽く怒られたがヘラヘラしながら自分の席に着席した。しかもちゃっかり遅刻じゃないことになってるし。ありえん。
雄太は俺の席を把握すると満面の笑みでウィンクしてきた。俺の地元ではウインクするのが流行ってるんだろうか・・・。ありえん。。。
授業が終わり雄太が駆け寄ってきた。
雄太『お~い~!昨日の夜起こせっていったじゃんかよ~!』
俺は冷静な顔で、
健三『今日の7時に電話しただろ。つか自分で起きろ。』
雄太は凄い真剣な顔つきになり、
雄太『昨日はまじで色々大変だったんだよ。』
健三『何してたん?』
雄太『2ch』
本気でぶん殴ろうかと思ったが、どうでも良くなったのでほっといた。
雄太はまた満面の笑みで、
雄太『まぁまぁそんな怖い顔しないで♪俺も遅刻扱いになんなかったし問題なっし♪』
唯『問題あるぞ!』
雄太はドキっとして振り向いたらぷーっと口を膨らませた唯がいた。こいつが怒る時はいつもこうなる。
唯『しょっぱなから遅刻するとかほんと神経疑うわ。せっかくみんな自己紹介とかしてたのに~』
雄太『でもどうせマエケンは2言ぐらいしか喋ってないだろ?』
唯は大笑いしながら、
唯『当たり(笑)』
雄太『俺ならもうちょい良い感じな自己紹介できるけどなぁ~。マエケン!俺を見習いなさい♪』
俺は軽く雄太の頭を小突いて次の授業の準備を始めた。
唯も授業の準備をするため自分の席にもどっていく、それと同時に雄太が、
雄太『やっぱさぁ、唯って可愛いよな。口は悪いけどね』
雄太が中学生の頃から唯のことが好きなのは知っていたが、いまいち勇気がでず今に至っている。
雄太『俺この高校3年間使って今度こそ言ってみせる!』
そんな事俺の席の前で叫ばないでほしい。俺はさらっと頑張れよ。と言い残し雄太を追い払った。
謙三『健三君の友達は面白い人ばっかだね♪僕も今度会話仲間に入れてね。』
と、純粋無垢な笑顔を俺に浴びせてくる。残念ながら俺は同性愛者ではないのだがこいつの笑顔は相手を惹き込む力がある。認めたくねぇーけど。
健三『ああ。いつでも入って来いよ。』
というと、凄い喜んでいた。この時点で正直めんどくさい男確定。
そんな事思ってると、謙三は小さい声でこんな事聞いてきた。
謙三『もしかして安達さんと謙三君って付き合ってたりするの?』
俺は吹き出した。まずありえない。でも俺はあえてゆさぶってみた。
健三『なんで?』
謙三『いやぁ。凄い仲良しだからそうなのかなぁってさ』
健三『ふーん。まぁ小さい頃からの付き合いだからな』
謙三『てことは、今安達さんはフリーって事なんだ』
健三『だと思うぞ。』
謙三『そっかそっか。』
そういうとニヤニヤしながら教科書を机の上に用意し始めた。
次の授業は俺のもっとも嫌いな数学だ。
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